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第三話
「タイガー・ホール」

Tiger Hole

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<星域>

「予想外の事態だ!」

『こんな事は考えられん!』

「奴を使う。」

『馬鹿なっ!正気か?』

「他に手があると言うのか?」

『しかし・・・』


降神暦2038年3月

機甲兵器と称される巨大な力がウェストリア、イスティナの両軍の陣営の矢面に立つようになり早1年が過ぎ去ろうとしている。加えて時間、あるいは次元を超えてアルフォースの地へ遷移(シフト)して来た者達はフェリアンを筆頭として彼らの機体の数だけでもその数は優に1000を越える。この時空遷移者(シフター)達が元の世界に帰るための手段は未だに確立されていない。彼らがその日の命を永らえるために各陣営に新戦力として属していったのはごく自然なことではなかっただろうか。
また、中立の立場を守ってきたRRRにも幾人かのシフターが加わっていた。「MUTEKISS」(ミュートキッス)チームのSシリーズをはじめとし、戦闘用人型駆動、AA,ATなど過去の地球圏の戦士たちも自らのいたもとの組織にかかわり無く、RRRへの参加に同意を示した。
こういった外部の人材と技術の流入はアルフォースの戦場を拡大する一因となっているのは、RRRにとっては皮肉な話なのかもしれない。
この明らかなる不自然の時代の中、今、ウェストリア王国内部で、新たなる動きがあった。良識派の貴族たちが議会に提出した講和、停戦の議案に端を発した一連の動きはついには議会を動かし、黒機士団への資金投入を凍結を決議させた。これにより資金面での後ろ盾を失った黒機士団は、表立った戦闘をとめた。しかしそれは一時的なものに過ぎず、彼らは別の手段つまり、支配地域の人々に過度の援助を強制し、反抗するものは容赦の無い制裁が加えられた。あるものはその命を奪われ、またあるものは妻子は言うまでもなくその一族すべてを殺され、死よりも重い悲しみに犯された。もはやこれは騎士のする行動ではない。黒機士団は、こうして『反乱軍』となった。
反乱軍に対してウェストリア正規軍が鎮圧に向かったが2倍の戦力を投入したにも関わらず、その結末は反乱軍の壊滅には至らなかった。機甲兵器操縦の技術面において、未熟な正規軍は反乱軍にとって敵ではなかったのだ。
そのころイスティナ連邦は・・・

イスティナ連邦では、帝国の新帝ハルト=ミヤモトの専制により人民議会とは名ばかりのウェストリア貴族達による政権は倒され、連邦諸国は覇王戦争以前の旧王朝ないし旧議会が復活していた。その結果連邦の人民は、不条理な税や、思想統制等から開放され、連邦新皇帝は人々の支持を得ていたのだ。
歴史は流転する。それはあたかも覇王戦争前夜の連邦のそれと同じであった。皇帝の名前を除いて・・・

 

「私は・・父と同じあやまちの道を歩んでいるのではないか。」

みずからに問い掛けるかのごとく皇帝は呟く。状況があまりにも似ているのだ。強いて相違点をあげるのならば、かつての皇帝が得た「混沌」という力が「機甲兵器」に置き換えられていた事だろうか。

「迷わないで下さい。貴方が迷えば、悲劇はまた・・・」

皇帝の傍らに純白の神官衣の女性が居た。ミカゲ=アシュフォード。
彼女が、皇帝の下へ来てから2年。常に彼の横にはミカゲの姿があった。何故彼女がそこに居たのか。それは彼女の歩みに理由を見つける事が出来るのかもしれない。

降神暦2020年、イスティナ連邦の西の国境近くの都市国家イシュタルで、ミカゲは領主アシュフォード公の第二子として生を受けた。その年世界は降魔大戦の混乱にあり、父親は同じ年の内に戦死した。母親もまた、二年後に病死していた。彼女と兄ハヤテは祖父、祖母の手によって幼年期を育てられたがハヤテが10歳の時流浪の武闘家につき修業のタ旅に出たのをきっかけにして、彼女も家を離れ、太陽教の神殿に身を寄せた。
ミカゲ=アシュフォードは、決して理想におぼれる事はなく常に現実を見つめてきた。度重なる戦争や事故などで頼るべき物を失った人々に手を差し伸べる事が彼女の生き甲斐だった。それらの自分と同じ境遇にある人々を救う事で彼女自信の心が救われていたのかもしれない。太陽教はそのための手段。そうミカゲは考えていたのだ。
そんなミカゲに転機が訪れたのは、彼女が15の時である。殉教のため訪れたウェストリア王都レイシールで、彼女は出会ったのだ。その男、後のの皇帝ハルト=ミヤモトに。
その時、後の皇帝、ハルト=ミヤモトは、その素性を隠し、ウェストリアの騎士ルーン=フォルナを名乗っていた。彼女はルーンという青年の初めの印象を、「ロマンティシズムに駆られたえせ博愛主義者」といっている。しかし数日後には、その認識を改める事になる事件が起こったのだ。
イシュタルの悲劇―――すなわちウェストリア黒機士団によるイシュタル市攻略の事である。
この事件を、ハルト、いやルーンは予見していた。来たるべき祖国再興のためにその地位を利用して情報を巧みに収集していたのだ。そして、彼はアシュフォード兄弟にそれを伝えた。兄弟とルーンは、それぞれイシュタルへと向かったが、ハヤテは、ある事件に巻き込まれ、イシュタルについたのは悲劇の前夜であった。これに対しミカゲは、いち早くイシュタルに帰り着き、事件に備え、アシュフォード家の財産を運び出し、多くのイシュタル市民に危険を伝えていた。だが、当時、機械化部隊の存在を信じるものは少なく、多くの命が失われたのは不幸としか言いようが無い。
この事件後、ミカゲはハルーン、いやハルトと行動を共にする事となった。戦争の予感は彼女に黒機士団に対抗すべき力が必要とさせた。早急に黒機士団を撃たねばならない。その為にイスティナ帝国の再興を利用する事を考えていたのであった。また、ウェストリア貴族の圧政から旧イスティナ連邦の民衆を開放するためにもそれは不可欠と考えられたのだ。そして2年。ミカゲは、緻密な計画の下、反ウェストリアレジスタンスの力を集結させ、ハルトを即位させた。そして、機甲兵器の技術者モノ=ベレズフォードを帝国に招き入れ、機甲兵器の部隊を作り上げた。彼女なしにイスティナの再興は考えられなかったのである。

「そうですね。私は、この力――――――ヴァルセイバーを以って超えねばならないのですね。・・・・全てを―――」

イスティナ皇帝は眼前に佇む30メートルはあろうかという機械の巨人を見上げ静かに言った。

「はい。」

 

<トリモグラーU>

ヴァルキューレロートのメイン動力MBH機関それは容易に解明できる代物ではなく未だ調整は完全とは言い難い。だが、紅の戦乙女・・・その胎内に眠る重力の固まりは、RRRに予想外の成果ををもたらした。

今、その艦は、ウェストリア王国料の遥か上空を飛んでいた。予知された、時空遷移のポイントへと向かうためである。時空間移動、特に時や次元を超えての物の実態を把握する事は、現在のアルフォースの技術力では不可能である。それどころか文明の最盛期であったといわれるアルティノの時代でさえもそれを可能とするのはヴァルキューレロートの開発者でもあるジャン・クライフ博士を除いて他にはいなかっただろう。だが、ここにはそれを可能とする者がいた。

フェリアン。その本名ではない名で、白銀の騎士を駆るエレンティアの戦士。彼の“混沌感知”の<魔法>は、それ自体シフトとは何の関係も無い筈のものであった。だが、それが、MBH機関と出会う事でそれが可能となったのだ。時空間移動は、その前後に時空間の振動を生む。それはMBH機関と共鳴した。超高質量であるそれの振動は、一時的に“混沌”と同質のものを生んだ。これをフェリアンの“混沌感知”が捉えたのだ。
あとは、彼の証言を元にし、RRRの技術陣がシフトの地点を予測するのはそう困難な事ではなかった

そして今の、彼らの目的地は、“ルオン峡谷”。そこはアルフォースの聖地。古代遺跡の地。時空を超えてそこに現れるものは・・・

 


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