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第一話 「時空遷移」

plane shift

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<降神暦2037年9月 某所>

「素子の濃度が上がっておる。このままでは時空秩序が維持できなくなるぞ」
『ならばどうする。』
「ほおって措けぃ」
『良いのか?』
「混沌排除の指令は解除できん。」
『代行者とて無力だということか』
「さよう。われらとて神では無い。」

<同日 アリアカンテ級巨大戦艦トリモグラーU・ブリッジ>

「艦長、J9ポイントで未確認機とウェストリア軍の交戦と思われる反応を確認しました。」
『んっ、何だ?何かあったのか?』
「んもぅ、また寝てたんですか」
いつものことではあるが、この全く自覚の無い艦長チャンプ・ヴォルフレイムにレーダー手サイア・ウエスギは呆れ果てたようにそういった。

『うるせぇ、何があったか早く言えや』
どうやらこの艦長チャンプ・ヴォルフレイムは眠りを妨げられたので機嫌が悪いようである。

「・・あたし・帰る・・」
そう言うとサイアはブリッジを出ていってしまった。

「艦長、サイアちゃん怒っちゃったじゃないか。」

「俺が悪いってか?シィキ。」

「そうだよ、大体艦長は・・・それより、J9で未確認機とウェストリア軍と交戦しているんだ。早く行かなきゃ!!」

「それを早く言えって!シィキ後はオートでいいからてめえもスタンバっておけや」

「了解。ハヤテにも言っとくよ。」
そう言うとシィキもまたブリッジを後にした。

「トリモグラー発進!」
他に誰もいなくなったブリッジでチャンプは舵を大きく回した。

ガラガラガラーーーーー・・・・

この時すでにオート機能が働いているため意味はない。それは彼のささやかな楽しみでしかなかった。

 

 

<エレンティア暦 第20周期 1月35日 オトゥリアース 地下洞窟秘密工房>

耳をつんざくような轟音が工房全体を激しく揺さぶった。自然の洞窟を利用した秘密工房の天井や壁面に細かい亀裂が走り、石辺が雨のごとく床に降り注いだ。

工房の周辺警戒用のホログラフ・ヴィジョンにはMAの常識を覆すフォルムを持つC−DIV・ARMOR(カオティック・ディヴァアーマー)が映し出されていた。それが賢人委員会に送り付けられた声明文にあった十二使徒の1機であることは想像に難しくなかった。そして、その金属製の肉体の中には若さゆえに急激な変革を望んだ若者の理想のみが乗っているはずだった。

「きゃつらめ、どうやらトーキング・チューン(言霊コンピューターを用いた世界規模の情報網)からここの所在を嗅ぎ付けおったか。…少し遅かったの」

ふんと鼻で笑うと老人はまったく動じる様子もなく、守護機Lo−Elのすべての機能の最終点検に何の問題も無いことと、予定どうり機動とシフトシステムの試験を行うことを「彼」に告げた。

銀色の騎士甲冑を思わせる守護機Lo−Elの頭部にある搭乗空間に「彼」はいた。やや釣り上がった目と挑戦的な瞳が印象的な少年。彼こそがワード・デュエリング世界大会優勝者、第一級スペルキャスター資格保持者にして、ミスリルソード級に匹敵すると言われる剣の使い手でもある数少ない魔法剣士。飛び級によってルシタノ大学に15歳で入学、18歳で全課程を修め卒業した人呼んで"ルシタノのエンサイクロペディア"。パワーネーム(自分で付けることのできる名。運命を大きく左右するとされる。伝説上の英雄や偉人の名前を付けることが多いが、名前負けすると悲惨な運命をたどると言われている)フェリアン−それが守護機に乗るために「彼」に与えられた名であった。守護機の基になった守護者の一柱の名前。

「オレがLo−Elで出て表の奴等を片づけて来よーか。続きはその後でもいいだろ?オレの目が世界を映しているうちは好き勝手やらせないって」

「もう遅いわい。シフトドライブの起動を告げた異常、もう止めることはできん。それに…」

老人は白い髭に隠された口元を歪ませてニヤリと笑った。

「…予定どうりじゃよ。ここの情報をトーキング・チューンに流したのはワシだ。十二使徒とやらをLo−Elの完成パーティーに招待しようと思ってな。派手な花火で出迎えてやるさ」

「…ちょ、ちょっと待ってくれよ。実験がないのはいい。いきなり異界にシフトするってってもプレーン・シフトは理論上説明できるのかよ」

エレンティアにおいては実際に動かす起動実験よりも理論式で説明できるかが重要である。そしてフェリアンはその理論式をこれまで一度も見たことがないのだった。

「心配ない。Lo−Elはワシ一人で作った訳ではない。一昔前、賢人会議で最も高い位置にいた年寄りどもが暇にあわせて確立させた理論の全てを用いておる。そして今、個々の理論を用いて作られた機体もLo−Elと同時に目覚めのときを迎えているはずだ」

<同日、同時刻 ディランド 九龍島 秘密工房>

「ヴァルハート起きたぜ。…今のところ問題ない」

<同日、同時刻 シャンティオン ジャンバラ機密工房>

「白騎士起動確認。円卓の騎士との連動にも異常は見られない」

<同日、同時刻 アスカ 護霊墓>

「…霊王、覚醒しました。…多分」

<同日、同時刻 ラウアーティカン 教皇庁地下保管庫>

「目覚めの刻来たり。神よ、もしこの光景を見ているのなら我が同胞に等しく祝福を与えんことを」

<同日、同時刻 ヴァルハラ コロセウム跡>

「…動くぞ…」

<同日、同時刻 パルシア沖 船中>

「F・T、世界の命運を共に見つめていきましょうね。よろしくね」

<同日、同時刻 トーキング・チューン中央情報処理施設>

「ウェイク・アップ。ワーズ・ワース、システム・チェック…問題なし。続いて…」



<同日、同時刻 ノ・ア 秘密工房>

「時間…か。…イスカリオテのシステムは問題なく立ち上がっていますね」

<同日、同時刻 オトゥリアース 地下洞窟秘密工房>

「Lo−Elの全システムが勝手に起動してる…これがシステム"L"か?!」

守護機と呼ばれるディバアーマー全てに搭載されている連動システム、それが"L"である。ただ一人異世界に旅立つ「フェリアン」と、おそらく一度も会うことのない戦友達とを繋ぐ絆。

「ふむ…どうやらどこにも異常はない。20カウント後にプレーンシフト。それと同時にこの秘密工房を処分する」

老人が何気なく用いた「処分」という言葉に「フェリアン」は引っ掛かりを感じた。

「・・・工房を処分って、・・・ちょっと待てよ」

老人は答えること泣く背を向けた。

「さらばだ…我が息子。ディヴァアーマーの技術は一般化させるにはまだ早すぎる。この老体と共に処分するのが一番よいのだ」

「何言ってんだ。死ぬぐらいならオレと…」

だが、その全てを言い終えることも、感謝の言葉を伝えることも許されなかった。シフト・ドライブが臨界に達し、Lo−Elを矛盾技術の源たる混沌の存在する世界へと転移させた・・・はずだった。

 

<降神暦2037年 9月某日 惑星アルフォース 北部大陸シルナ地方 ポイントJ9>

どうやら気を失っていたらしい。目覚めたフェリアンの目に最初に飛び込んできたのは搭乗空間のステータスウィンドウに青く浮かび上がったルーン文字だった。

プレーンシフト完了。

機体機体チェックのため一時サポート機能を停止します

ふぅ…と息を吐くとフェリアンはゆっくりと頭を左右に振った。

「全部オレに押し付けやがって…」

ステータスウィンドウの警告分が消えるまでの間、搭乗空間は重苦しい闇と沈黙に満たされた。

その沈黙を破ったのが微かに機体を揺らした振動だった。普段なら放っておいてももかまわない程度の振動だったがプレーンシフト直後である以上、確認をする必要がある。システムチェックの終了を待たずフェリアンは非常用のシステムを立ち上げ、外の様子を映し出す『言霊』を告げた。

「ヴィジョン!」

その言葉に応えて白銀の機体の瞳が碧く輝き、フェイリアンの視界に外の状況が広がった。

「…MA(ムーバブルアーマー)?プレーンシフト失敗か?いや、違うか。…1・2・3機。囲まれたみたいだな」

どうやら接触を試みているのが分かったので、とりあえず受信と翻訳をLo−Elに命じる説明された投書は意味のない機能だと思ったものだがこうして使ってみると結構便利なものだ。

『機甲兵器パイロットに告ぐ。所属と目的を言え。応答が無い場合には、撃墜する。』

翻訳されたきわめて非友好的な挨拶にフェリアンの瞳が挑戦的に輝く。

「こちらは人畜無害な一般人。ピクニックの途中で道に迷って大弱りなんです。いちばんてじかなナビゲートポイントまでの道順を教えてもらえます?」

最後のほうはことさらに挑発するかのような口調に変わる。ナイフを持つ手を差し出した相手に握手をしようと手を差し出すほどフェリアンは寛容な性格ではない。

当然のごとくLo−Elを囲むように3機の機甲兵ホーン(ウェストリア王国製の量産型機甲兵器、黒色のカラーリングが施され"黒の機士団"に配備されている機体)は戦闘陣形に移行する。

それを確認するとフェリアンはフンと鼻で笑った。Lo−Elよりも性能の劣るMAを用いた理論戦でフェリアンは最高6機を相手にして勝ったことがある。

「誰に喧嘩を売ったか教えてやるよ」

口元で笑うとフェリアンはLo−El起動を告げた。しばしの沈黙の後、警告音とステータスウィンドウに映し出される赤い文字が答えの変わりに返ってきた。

 

システム・エラー

機体稼働環境に異常あり。

システム調整のため再起動に10分を要します

 

「不良品めっ!じーさんはなしがちがうじゃんかよ!」

フェリアンは八つ当たり気味にドンと床を踏み鳴らした。そんなフェリアンの心情を知ってか知らずか機甲兵ホーンはLo−Elへの攻撃を開始した。

「お前ら。9分後覚えてろよ!」

どちらにせよ、現在のフェリアンにできることは待つことしかないのだ。

 

<トリモグラーUブリッジ>

『J9ポイントまであと2分だ。シィキ、ハヤテ出られるな!』

艦内通信を使ってチャンプはハヤテ、そしてシィキに呼びかける。

「こちらハヤテ。いつでもでられるぜ!」

「こちらシィキ。自分もいけます。」

『目的は未確認機の救助だ。グランバスター、ブレード発進しろや!』

<トリモグラーU前部デッキ>

ハヤテ・アシュフォードは腕を広げ風にその身を任せた。

(風よ、俺に力を・・・・)

「グランバスタァァァァ――――ゴウゥゥ――――」

大空から巨大な光の鳥が舞い、重力に身を任せるハヤテのからだを包み込む。そしてそれは次第に人のそれへと形を変えてゆく。

一度地面に足をつけ再び、飛び立つ。白く光る翼を広げて・・

《機甲士神グランバスター》。ハヤテアシュフォードの愛機、そしてかつての《機甲神ドラグーンツヴァイ》の生まれ変わった姿である。

「いっくぜぇーーーーーっっ!」

<同格納庫>

「シィキベレズフォード、ブレード行きます。」

強烈な加速度とともにシィキを乗せた《機甲刀神ブレード》が、カタパルトから射出される。

(もうだれも殺さない!殺させたりしない!)

シィキは幼い頃・・・燃え盛る故郷と幼かった頃の自分を思い出す。

 


降神暦2037年

ここに重なり合うすべての時空を震撼させる巨人たちの戦いの物語が幕を開ける。

 


マップ

 

ホーン1

ホーン2

   
ホーン3       増援1
    Lo-El  
     
 
        スタート位置

注:Lo-Elは、2ターン終了時まで行動不能です。

注:増援1は、イスティナ軍のソウキ3体で、5ターン目に現れます。

第1話戦闘パートへと続く

加筆修正部分の文章: 鷹院碧輝 氏

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