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友愛伝機 ヴァリスゲイヤー

〜第X話 神子のある一日=`

シーン4

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どこまで下に降りたのだろう。既に相当地下に降りたはず、などと神子が考えていると、やがてはるか下方に見えていた光の中に吸い込まれていった。
 急激な光暗の差に神子は目が眩んだ。
 ややもすると目が慣れ、神子は車の窓を開けると身を乗り出して車窓から辺りを臨む。

「すごい!本物の秘密基地だ・・・・・・・天井が光ってる・・・・・ここにヴァリスゲイネ・・・?があるのかぁ」


 感心する神子を尻目に彼女らの乗る車はどんどん下に降りていく。やがてフィィ・・という涼しげな機械音とともに地面に緩やかに降り立つと停止した。
 津田さんが神子に合図し、車を降りると歩き始める。それに従い神子も車から降りコンクリートの地面を津田さんについて歩く。
 秘密工場は以外に広く天井は高い、そしてその天井全体が光を発し中は昼間のように明るかった。その至る所で忙しなく駆動の部品が作られてはベルトコンベアで運ばれていく、機械化が進んでいるためか人は少ない。壁には幾つもの窓があり正に

「秘密工場」

の様を呈していた。ただ、そのようにハイテクを駆使しているにも拘わらず休憩所としてか幾つかプレハブ小屋が建っていたり、

2200400はエアコン禁止」

と言う標識にマツダの見栄と本音を感じられた。
 その中を津田さんと神子はヘルメットをかぶり歩いている。ヘルメットにはお約束か安全第一と書いていた。
 神子は紅葉上の髪のためヘルメットは浮いていたが、さながら工場見学に来た小学生のようにキラキラ目を輝かせながら神子は辺りを見廻す。

「さあ、ヴァリスゲイネはどこにあるの?早く見たいな」


 神子が目をキラキラ輝かしながら津田さんをせかしたてる。
 しかし津田さんはふっふっふと低く笑うと振り返り答えた。

「ふふ・・・言ったよね、

「筆記なんてすぐ終わるからパパッと受けて実技講習に行こう」

って」


「え・・・・じゃあ・・・」


 にやりと津田さんが笑いながら通路の奥を指差す。

「御名答!」


 津田さんの指差す先には暗く細い廊下が続いており其の先の一室には

「第二シュミレーション室」と看板が立っていた。
 再び歩きながら津田さんが説明を始める。

「この第二シュミレーション室ではヴァリスゲイネの基本操作の説明と戦闘シュミレーション行うの。安心していいよ。これの成績がどうとかでヴァリスゲイネのモニター不適合なんて事ならないから。ヴァリスゲイネ高機動、高精度だけど莫大なエネルギーを必要とするの、基本的にはガソリンで動くわけだけど当然それだけじゃそんな莫大なエネルギー生み出せないのね」


 そう言いながら津田さんはシュミレーション室の扉を開け明かりをつけると椅子にちょこんと座り、話を続けた。

「そ・こ・で・目をつけたのが人間、つまり搭乗者自身のエネルギーなの。まあ詳しい仕組み、あたしは知らないけどガソリンに搭乗者の気力を組み合して動かしてるらしいのね、つまり搭乗者の気力が大きくものを言うわけ。ということで搭乗者も普通の人じゃとてもじゃないけど務まらないのね。そんなわけで世界中から其の適応者を発掘したら・・・・なんと廣島に二人も適応者がいたわけね。で、其の第一号に海君が選ばれたの。気力の値から言って海君の方が上回ってたしね。まあそもそもヴァリスゲイヤーからいってヴァリスゲイシステムに鎧着せたようなもので、86メートルの大きさにもかかわらず内部兵装が殆ど無くて兵装は外付けに頼ってる。そして高出力と引き換えに物凄い気力を必要とするわけだから」


 津田さんは一息つくと立ち上がり神子を部屋の奥のあるたくさんの機械が繋がった椅子に導いた。
 神子は安全第一のヘルメットを脱ぎ払うと圧力で硬く強張っていた髪を解すようにぷるぷると頭を震わす。そしてそのまま少し怪訝そうな顔をしながら椅子に着くと、津田さんがまわりでいろいろな装置をいじりながら三度話を始めた。

「マツダはこの間のヴァリスゲイヤー消失事件で既に開発終了していた二号機のモニターを急遽召集したの、つまり貴方ね。そしてこのヴァリスゲイネでヴァリスゲイヤー消失の真相とヴァリスゲイシステムのモニターの継続を図ってるわけ。もちろん真相解明したあとは各紛争地帯に行って貰って戦場に友愛の心を広める事に従事して貰うわ。このヴァリスゲイネはヴァリスゲイヤーで今まで得たデータを元に搭乗者の負担を軽減したもので、貴方でも十分に動かせられると思うわ。少ないエネルギーで動かす分装甲は薄くなったけど高い機動力を得ることになったの。そしてこのヴァリスゲイネには大きな秘密があって・・・・・・・・・・・・と、この先は後のお楽しみ!」


 くすくす笑いながら津田さんは薄暗くたくさん機械がある部屋の隅の方にある大きな機械をえっちらおっちら運んできた。

「あ、いいよ。一人で運べるから・・・・・」


 そう言いながら機械を担いできた津田さんだったが端から見れば機械に担がれているようであった。
ドン!・・・ガチャ・・ガチャ・・・
 津田さんははぁはぁと息を切らしながら機械を神子の前に置き椅子に取り付けた。暗がりでよく見えなかったが其の機械は自転車のハンドルを豪華にしたような感じで・・・・いや、原付のハンドルそのままだった。ご丁寧にバックミラーもついている。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・これで動かせれるの・・・・・・・・・・・?」


 じとっとした眼で津田さんを見ながら神子が訊ねた。

「うん?大丈夫!言ったでしょ貴方の気力がこのヴァリスゲイネのエネルギーだって。貴方の気力に応じてコンピューターがそれなりの判断をしてくれるわ。ヴァリスゲイヤーと違って操作性も大幅に改良されたんだから、めんどくさいギアチェンジも無くしてハンドルとブレーキとアクセルだけになったんだから」


「ハンドルとブレーキとアクセルだけで動かせるロボットって・・・・・」


 神子は怪しがるが津田さんはいたってマイペースに操作を続けている。むしろ聞いてない振りにも近い。

「さ!セッティング終了だよ!さあさあ基本操作の説明始めるよ。はい、このヘアバンドつけてこれを通じて貴方の気力がヴァリスゲイネに供給されるんだからね。説明終わったらすぐ戦闘シュミレーション開始するから気をつけてね!じゃ!」



「ふ・・・・・・・む、初めてにしては良くやった方なのね」


 一時間のシュミレーションを終えた神子はハンドルに寄りかかるようにうな垂れ肩で息をしている、シュミレーションとはいえ実際に駆動に乗ったように気力を消費する仕様のためだ。
 息が上がりっぱなしの神子を尻目に津田さんはデータを片手に持ちながら続ける。

「え〜と・・・被弾率3.21%、触雷率0.22%、それによる破損率65.65%、稼動可能域ギリギリって所ね。特に挟撃時の被弾率が高いのね。う〜ん、集中力がありすぎて目の前の敵機以外に目がいかないのかしら」


 肩で息をしながら神子が頼むように言う。

「ちょ・・・・ちょっと休憩・・・・ハァハァ・・」


 津田さんは神子にヘアバンドを外すようにいい、パソコン(?)を開き胸元からペンを取り出すと何かを書き込んでいる。おそらくシュミレーションの結果であろう。
 本当にこれがパソコンか、と神子が覗きこもうとする、と、先手を獲ってか津田さんはパタンとパソコンを閉じ神子に向きなおし言う。

「ふふ・・・もう体力回復してきたみたいだね。第二ラウンド行く?こんどはあたしが相手だよ」


「へ・・・・・第二ラウンド・・・?」


 素っ頓狂な声を出しながら神子が尋ね返す。にっこりと津田さんは笑い返す。わずかな沈黙が二人の間に漂う。
 沈黙を破るのはやはり津田さんのほうであった。

「そっ第二ラウンド!この実技講習は全九ラウンドまであるよ。いったよねヴァリスゲイネは汎用タイプだって、陸、海、空、宇宙、四つの状況に慣れてもらわないと。そして其の後、総合地形ミッション電盤上演習に移るよ。あ・・・ご飯の心配はいいよ社員食堂のご飯だけどこっちで準備させて貰うから」



「ほら!二時と九時の方向からの挟撃だよ!バーニアふかさないと!左方注意!地雷原に入るよ!金探使って!もっと早く!回避行動!この程度の弾幕抜けれなくちゃ、戦場に友愛は伝えられないね」


 津田さんの檄がとぶ。徐々に無駄な気力を消費しない術を身につけてきた神子であったが、容赦ない津田さんの操る駆動群に押されっぱなしであった。

「索敵、索敵、索敵、索敵!まず索敵!そして制圧!後索敵!作戦は索敵に始まり索敵に終わる!金探、生命反応、熱源反応もっとフルに活用して・・・・・・・・って立ち止まらない!止まったら撃たれると思って、一般兵が足元に!踏み潰さないようにホバリング!ああう踏んじゃだめ・・・ホバリング後救命弾掃射!そんな掃射じゃ友愛は感じられない!」


 神子の前に広がるホログラムディスプレイに様々な情景が映し出される。まだまだ訓練は始まったばかりである。

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