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神聖機兵エル・ブレイカー

〜第XX話 MISSION−FALED〜

 

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 「こちら、ベル=ファーシェス。E−BRAKER、システムの起動に問題はありません。いつでも行けます。」

 「制御室了解。エアロックを開きます。」

地球の陰に入ったL13コロニーのドックから純白の機体がゆっくり無重力の海へと流れた。ベルは生命維持のシステムを除いてE−BLAKERの機能を停止させた。慣性の法則に従い宇宙を漂う。あと十数時間ベルは、通信すら入らないこのコックピットの中でその時を待たねばならない。不思議と不安はない。むしろ生まれる前のような安心感すら覚えていた。
L13コロニーは、2年前にその役目を終え破棄されたコロニーのである。今頃、同じように破棄されたいくつかのコロニーからも、ベルと同じように作戦に参加した戦士達が目的の場所へ向かっているはずである。
S.F.S.とはその軍事力を背景にあらゆる戦争、紛争を未然に防ぐために組織された民間の軍隊である。この組織の存在は、確かに平和を護ってはいた。しかし、それは同時に人々の自由を奪うものでもあった。各コロニーの自治政府は、SFSに融資を行い、これにより戦争の火種に成り得ない存在であることを示した。この資金を元にSFSは軍事力を増強し、さらなる融資を強いる。この悪循環は、人々を貧困へと導いていった。この平和に人々の望む物は、無かったのである。

 「時間ね。」

目的の場所に到着したので、予定どうりにベルは機体から発光弾を流す。

 「カウントダウン開始。」

オレンジ色のデジタルタイマ−が、秒読みを始めた。
カッ!
発光弾が、強烈な光を放つ。と、同時に発光する荷粒子の束が、一点へと向かい発射された。

 「ゼロ・・・」

ベルは、カウンタ−を確認し、E=BRAKERを発進させた。

 「クゥゥゥゥゥゥゥゥ」

加速に伴う強烈なGにベルの口から意識を介さない声が漏れる。
ディギアンフェードドライブ特有の緑色のアフターバーナーの光を残しE=BRAKERは、SFSの中枢グランロート要塞へと突入した。

 「可笑しいわ。上手く行き過ぎる。」

 「いいじゃねぇか、このまま一気に司令部まで突っ切ろうぜ!」

 「ウィッグ!、貴方もこの作戦に参加していたの?」

有視界レーザーの音声通信のためお互いの顔は見えないが忘れようの無い声。彼女が反SFS組織グランドクロスに志願した日、いきなり結婚を申し込んできた1つ年下のグランドクロス構成員。それが、ウィッグである。この非常識なプロポーズをベルはあっさりと断ったはずではあるが、ウィッグは出会う度にプポローズをくり返していた。ベルはしつこい男は嫌いだが、全く陰湿さを感じさせないこの男の態度に、どうしても憎めないものを感じ始めていたのだった。もっとも恋愛や結婚のの対象としては、論外。どちらかと言うと弟にでも接するかのような感覚である。

 「ベルちゃん?!うれしいねぇ。こんな処で君とデート出来るなんて。オレッチは幸せもんだぜ!・・・とっ、お喋りしてる間にお邪魔が来ちまったぃ。じゃ、先にいくぜ!」

 「待ちなさい・・・と、言っても無駄みたいね。」

ウィッグのAT、スレイ=ジャスティスは、もう行ってしまっていた。

 「まだいける?」

 「オレッチは無敵!任しときな!」

 「じゃあ、お願いね。」


グランロート中枢で2機のATは無人兵器アームドドールの前に苦戦を強いられていた。ベルの不安は不幸にも的中してしまったようである。この要塞に既に人影は無く、恐らくはあと数分で要塞諸共ベルと、ウィッグを始末してしまう・・・つまり自爆装置が働いているのだろう。グランドクロスの作戦が筒抜けだったのか、この世有際の情報事態がフェイクであったのか。どちらにせよグランドクロスの作戦は失敗となった。あとは、どうにかしてここを脱出しなければならない。

 「結果が出たわ。ここの自爆までの推定時間は約10分よ。」

 「10分!こんなときに冗談はよしてくれって!」

 「いえ、それだけ時間があれば十分。でも、少し時間を稼いでちょうだい。」

 「おっしゃ!よくわからねぇが、ベルちゃんを護るのはオレッチが引き受けた。」


 「システムリミッター解除。電磁フィールド出力400%!頼むぜ!スレイっ」


スレイ=ジャスティスは、通路から飛び出し、中枢ホールの、文字どうり中心部へ跳んだ。。ADの攻撃がスレイ=ジャスティスに集中する。

 「へっ、かかって来やがれ!」

 「・・・って、ちょっとは手加減しろよ!」


普段の4倍の強度の電磁フィールドを発生してるにも拘らずあらゆる方向から降り注ぐADのビームはスレイ=ジャティスにかなりのダメージを与えている。もって3分ぐらいか。

 「仕方ないよね。おかあさん。今から行くわ。」

ベルは、禁断のシステムを起動させた。ATに搭載されているディギアン型融合炉が暴走を始める。
クゥ−−−−−−−−−ン

 「ウィッグ、2秒したら自爆して突破口を作る。そこから貴方だけでも逃げてっ!」

 「ちょ、ちょっと待てよっ!それじゃ・・・」

 「さよなら。」


(これで、良いのよね。この機体はSFSと同じ。強すぎる力だから。)
EL=BRAKERを白い光が包み込む。臨界までもう1秒とかからないだろう。

(ベル、貴方はまだ死んではなりません。生きなさい。強く。やさしく。)

 「何?誰なの?」


彼女の意識はそこで途絶えた。

臨界に達する直前まで高められたエネルギーは、電磁フィールドで形成されたチューブ上の場を伝い、EL=BRAKERの放熱板に集まる。
(パニッシュっ!)
本体から離れた放熱板は、あたかも一枚一枚が意識をもったかの如くとびだし、確実にADを切り裂いていく。それは一瞬の出来事だった。

 「おい、おぃ。こりゃぁ・・・いったい・・・?」



崩れ逝く無人の要塞を背に2機のATが漂っていた。

 「エネルギーは、ほとんど空っぽ。おまけにベルちゃんは、お昼ね。うかつに救難信号も出せないし。」

 「どーすっかなー」

 「ん、あれ?」

 「ベルちゃん、気が付いたか?」

 「ここは、天国かしら?変ね。何で貴方がここにいるの?」

 「冗談!オレッチは死んだ覚えないぜ。覚えてねぇのか」

 「そう、助かったの。良くわからないけど・・・・いいわ・・・」

 「全然よくねぇ!このまま星の海を漂流したまま死ぬなんてご免被りたいね!」

 「あたしとじゃ、いや?」

 「・・・それはそれで、いいかも。」


 「でも・・・残念でした。ほら。」


EL=BREAKERの指さす先には、緑色の光があった。それは次第に近づき、シルエットがATであることを物語る。識別信号はグランドクロスのものである

 「お二人ともご無事でしたか。」


 「ちっ、良いところだったのによ・・・」

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