>アルフォース世界の歴史>覇王戦争>光魔大戦
イスティナ帝国はかつての連邦とともに独立国の形をとりながらもその実質はウェストリア王国の支配下にあった。
その支配は議会の半数を王国貴族が占める形で行われていた。
一部の者たちには不満の声もあったが、王国主導による復興の政策は確実に、そして爆発的な速さで進んでいた。
その背景に、地中に埋もれる古代遺跡(元々スペースコロニーの残骸であるアルフォースの大地は地球発の『旧文明』の技術の宝庫である。)の遺産『オーバーテクノロジー』と呼ばれる技術があった為である。
『オーバーテクノロジー』は、王国貴族ローズ卿の出資によって探検家スコット=ホワイト(後にスラーブ=サースと改名)の手により発掘されたものである。この技術がもたらしたのは、裕福な貴族ならば20世紀地球人類と同程度の生活を手に入れられるものであった。遺産発掘は、冒険者と呼ばれる新たな職種の人々により急速に進められ、王国大学では次々と技術の解明が行われた。
冒険者・・・それは自らの勇気と知恵を駆使し命を張り、危険な仕事を請け負うもの達のことである。
この時代、先の戦争で『混沌』の魔力により合成された生物兵器『妖魔』が各地に出没し人々の生活を脅かしていた。
家畜を襲い、村や、畑を荒らし、中でも最も人々が恐れたのは婦女の誘拐であった。『妖魔』は連れ去った女に自らの子を宿らせ増殖していった。
そしてその繁殖力は人間のそれをはるかに凌駕していたのである。
そこで自衛のため駆り出されたのが冒険者たちである。彼らにより『妖魔』の手から救い出されたり、運良く自力で逃げ延びた女たちもいたが、『妖魔』の子を産んだものは平穏に過ごすことは殆どない。重度の精神障害をきたした者、謎の病に犯され死ぬ者、自らその命を絶つもの。
だが、それ以上に不幸なのは彼女ら自身が『妖魔』へとその姿を変えていったものであった。ことの露見を恐れる親族や、彼らに雇われた冒険者の手により葬られるのである。良きにしろ、悪きにしろ、当時の冒険者は、遺跡発掘と、対『妖魔』の対策として欠かせない存在であったことは言うまでもない。
そんな冒険者をサポートする店がある。仕事の仲介をし、彼らのくつろぎの場となる酒場と宿をかねた店である。いつの頃からかそれらの店は『冒険者の店』と呼ばれるようになり人々の生活の溶け込んでいった。
それらの店の中に『留流の店』(るるのみせ)という店があった。
その店の女主人は、覇王戦争の英雄の一人で行方不明だったエリエール=グリーニア(ルルという名前を使用)であった。
降神暦2015年−某日−
その日大空より飛来するいくつかの光を見たものが居たという。時を同じくして『留流の店』の女主人は姿を消した。店のウェイトレス、アリス=ホワイトに宛てて一通の手紙を残して・・・
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しばらく休業していた店が新装開店したのは。
そして、この店にも再び常連客がつくようになった。
- 野生児にしてデューネダインの名を持つルオン=デューネダイン
- 大貴族ローズ家のボンボン、騎士セレシアル=ローズ。
- 炎狼風牙に憧れる格闘家、グースリー=ネール。
- 謎の魔法使いのおじいさん、ジジィ。
彼らこそ後の時代に『英雄』となる冒険者一行であった。
降神暦2015年12月
覇王戦争以来消息の分からなくなっていた『混沌の騎士』の一人が、姿を見せた。
彼の出現によりその影響を受けた妖魔達の活動は活発化し、各国は混乱の渦に巻き込まれていった。
降神暦2016年4月
ウェストリア中心都市レイシールに巨大な竜が出現する。これにより一夜にしてレイシールは壊滅に追い遣られる。この竜こそコロニー戦争の時代に活躍した機動兵器の一体“竜機聖 ドラグーン”であった。
この“ドラグーン”を迎え撃ったのは、皮肉にも同じ技術…古代文明の遺産の技術を用いて作られた最初の“機甲神”であった。
機甲神は古代文明の遺産…発見されたドラグーンの設計図を基にし、再設計された基本構造を持ち、その動力源に“星の戦士”の残した武具の魔力を使用することで完成された機械の巨人である。
ドラグーンを撃退したのは、ドラグーン。
レイシールの街が炎に焼かれたとき、冒険者ルオン=デューネダインは、ローズ家の地下秘密工場で建造中の試作機甲神1号機“ドラグーン・ツヴァイ”を偶然発見し、起動させた。
彼の持ち前の野生の直感により、ドラグーンIIは、製作者スラーブ=サースの予想をはるかに上回る戦闘能力を示し結果、破壊には至らなかったが、ドラグーンを撃退したのであった。降神暦2017年
混沌の使徒は次々と姿をあらわし、強化された妖魔を送り出し、中には、機甲神ほぼ同サイズの妖魔までも出現した。
人々にとってこの妖魔達との戦いは苦しい戦いであったが、完成した四体の機甲神を中心に戦い抜き、ついには、混沌の使徒との直接対決に至る。約三年間の戦い。多くの人々の命が失われ、天に召された。
降神暦2020年
完全に改修終わったの“星の船=アリアカンテII”と共に五機の機甲神とその乗り手は、混沌の使徒との最後の戦いのために星域へ向けて飛び立った。その後の、彼らの消息は分かっていない。只、これからしばらくの間、混沌の勢力は沈黙している。
数年の後、人々の間にはこんな噂が囁かれるようになる。
混沌は、五人の英雄達によって倒された。そして英雄達は、神になったのだと…