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トウガが、「イベリア」に来てから、早くも一週間の時が過ぎていた。
異世界・・・ということで、違和感を覚えつつも、彼は相変わらずセノの家に厄介になっていた。
「・・・理解しがたい話ですね・・・」
セノから語られた話は・・・トウガにとっては、まさに夢みたいな話だった。
「わたしが・・・この世界を救う?・・・おもしろい・・・」
トウガが訝るのも無理はない。この世界・・・彼が見ているのはウール100%王国だけだが・・・人が争うだとか、そういった類のことが、ここ一週間、まったく見られないのだ。セノの話によれば
「この世界の住人たちは、肉体的に熟練しているから」
らしい。だから、基本的に「戦う」といった行動を取ることは少ないのだそうだ。納得はいかなかったが…
「だからこそ・・・」
そう・・・だからこそ、彼等は異世界の住人であるトウガ達を召喚せざるを得なかったのだ。しかし・・・
「私に命令するつもりなのでしょうか・・・」
・・・そう、彼等の話は、えらく一方的なのである。
帰ることができない。そう言ったわけで、トウガは、まだ自分の意志を決め兼ねているのだった・・・。
「お邪魔しますわ」
不意に、セノの家に、女性の声が響いた。訪問者のようである。しかし・・・
(・・・まあ、わたしには関係ありませんね・・・)
そんな無責任なことを思いながら、トウガは、目を閉じた
そんなトウガの意に反して、家の中の気配は、まったく動かなかった。どうやら、セノもセイバーも外出中らしい。
「仕方ありませんね・・・本意ではないのですが」
そんなことを独りごちながら、トウガは客の応対に出るべく、ベッドから起き上がった。
階段を降りて、玄関に向かうと、そこには、派手な衣装の女性が立っていた。そのケバケバしさにトウガは、思わず少しためらいながら・・・
「なにかご用なのですか?」
・・・と、質問をするのだった。
「おーほほほほほ、中々男前じゃない」
その女性は、高笑いしながらその問いに応えず値定めをするように彼を見た。トウガは、いやな予感を感じつつもなるべく平静を装って・・・
「セノに用事なのですか?」
と聞いてみた。
「今日伺ったのは・・・トウガさま、あなたとおXXXしたかったからです」
その答えは・・・トウガにとっては意外な物であった。まさか、異世界の人間とXXXをしに来た・・・なんて…。
「仕方ありませんね…」
それでもなんとか平静を装って、…(なぬっ!?)
(中略)
「おや、ミスティルじゃないですか」
・・・どうやらセノ達が帰ってきたらしい。
「xxxは・・・終わったかな?」
「ええ、おおむねは」
どうやら、このxxxはお膳立てされたものだったらしい。・・・もはや、驚く気力はなかったが。
「で?どうですか?トウガ?」
「貴方に話す必要はないでしょう」
・・・Prrrrr!!Prrrrr!!・・・
いきなりコール音が鳴り響く。
「はい、ミスティルですが・・・・・・ええ、わかりました」
「事件ですか?ミスティル」
セノが問い掛ける。
「ええ・・・私はレズテイルで出ます」
「ソウカ…ドウデモイイガ、トリアエズ、フクヲキロ」
セイバーが、言う。意外と人間味を持っているロボットらしい。
「お断りよ」
そして・・・彼女はそのままの姿で走り去っていった・・・。
「トウガ・・・これから起こることを、しっかりと見ておいてください」
・・・意味深な言葉を投げかけるセノ。
「・・・命令するつもりですか」
その言葉に、トウガは・・・うなずかなかった。
巨大な人影が3つ、大地に降り立った。それは・・・トウガがこの世界に来た時に見た巨人に似ていた。
3つの巨人に対するかのように・・・別の巨人が7体並んでいた。「・・・」
その光景はもはや、トウガの理解を超えていた。
巨人同士が、・・戦っているのである。格闘戦をしているものもいれば、後方から砲撃しているものもいる。
3体の巨人は・・・その数の差もあってか、不利な戦いを強いられているように見えた。「・・・ミスティル達・・・無事ではいられませんね」
トウガは、セノに尋ねた。
「このままでは・・・危険ですね・・・」
セノは、内心の焦りを隠せなかった。
「せめて、勇者がもう一体いれば・・・」
「・・・もう一人いればいいのですね!?」
トウガは、思わずそう聞き返していた。先ほどまでの逡巡が嘘の様に。
「お願いできますか?トウガ」
「・・・」
「では、ブレイブフォースと叫んでください」
「お断りします」
言葉に強い意思を込めて、トウガは言った。
「存在」・・・その意味を、物理的な意味に限定してしまうと、「それ」は、存在してはいない。しかし・・・「それ」は確かに、この「世界」を律していた。
「それ」には意志はなく・・・ただ等しく悠久の時を律する。いつの頃からか・・・人たり得ない存在には「それ」は「システム」と呼ばれるようになっていた。
「システム」・・・それは、今、確実に壊れつつある。ただ、「世界」にとって惜しまれるのは・・・「それ」を完全に認識できる「人間」が存在しないことであった。
Chapter.3 粉塵へと続く